ミトコンドリアの酵素「MITOL(マイトル)」が白髪を治す?
最新研究によって、白髪が黒髪に戻る可能性が出てきたようです。
2021年7月15日、大正製薬が「毛髪最新研究発表会」で、ミトコンドリア内にある酵素が毛髪や皮膚のアンチエイジングに重要な働きをもたらすという研究成果を発表しました。
その酵素とは、ミトコンドリアユビキチンリガーゼ「MITOL(マイトル)」。
学習院大学の柳茂理学部教授との共同研究による成果で、このMITOL(マイトル)をターゲットにしてタンパク質を活性化することで、細胞の若返りに期待できることが分かったようです。
白髪が生える原因
白髪が生える原因は、基本的には細胞の働きが低下することです。
髪の大元となる毛根には、毛母細胞と色素細胞があり、色素細胞で作り出されたメラニンを毛母細胞に受け渡すことで、髪は成長しながら色が付けられます。
色素細胞のMITOL低下で白髪が増える
人間の体内には、生命維持のためのエネルギーをつくるミトコンドリアという細胞内の小器官があります。
MITOL(マイトル)は、そのミトコンドリアの中にある酵素で、ミトコンドリアが活発に機能するようにメンテナンスをする重要な役割を担っているのですが、40代くらいから加速的に減少していってしまいます。
色素細胞でMITOL(マイトル)が低下してくると、どうなるでしょうか?
色素細胞のMITOL(マイトル)低下は、色素細胞の働きの低下を招きます。そうなってくると毛母細胞に受け渡すメラニンの量が減少してしまい、その結果白髪が増えることになるのです。
ボタンピエキスで白髪改善の可能性
MITOL(マイトル)の働きが低下することで白髪が増えるのであれば、反対に考えれば、色素細胞のMITOL(マイトル)を活性化させることができれば、白髪を減らすことができるということになります。
今回の大正製薬の発表では、「ボタンピエキス」と呼ばれるボタンの根皮から抽出したエキスが、毛髪のメラニン維持に有用である可能性について発表しています。
色素細胞に、通常対象群とボタンピエキスを添加した群を比較した実験において、MITOL(マイトル)の発現に明確な違いが見られ、また培養毛包における実験でも、毛包メラニン量に変化が見られたようです。
詳しい研究内容については大正製薬のプレスリリースを見ていただきたいですが、実験によってボタンピエキスが白髪に作用する可能性が示されています。
(大正製薬 プレスリリース)世界初、毛髪アンチエイジングに作用する新たな成分の組み合わせをネイチャーラボ社との協業で発見
ボタンピエキスで薄毛改善の可能性も
ボタンピエキスには、毛髪のメラニン維持に加え、毛髪の成長期を延長することにも有用である可能性が高そうです。
髪の毛にはヘアサイクルがあり、一定期間成長したあと、自然に抜け、また同じ毛穴から新しい髪が生えてきます。
通常ヘアサイクルは、「成長期(2~6年)」「退行期(2~3週間)」「休止期(3~4ヶ月)」に分かれますが、この「成長期」が最も重要な役割を果たします。
成長期が長ければ長いほど、髪はその分長く成長し、また太くなります。薄毛の方の場合、この成長期が短くなってしまっていることから、髪の成長が弱く、髪も細いまま抜け落ちてしまっています。
MITOL(マイトル)の活性化により、毛母細胞が活性化し、髪の成長期を延長することができれば、抜け毛を減らし、薄毛の解消に繋がります。
「細胞の活性化」という新たなアプローチに期待
これまで白髪改善への対策としては、「血流改善」と「栄養補給」が主流でしたが、新たに「細胞の活性化」という新たなアプローチが加わりました。
これまでの対策では、なかなか効果が分かりにくかったり、効果が出るまで時間のかかることもありました。新たなアプローチが加わることで、今まで以上に効果が出やすく、また効果までの時間短縮も期待されます。
MITOL(マイトル)を活性化させる商品はまだ販売されていませんが、「ボタンピ(牡丹皮)」は漢方でも販売されています。
「ボタンピ(牡丹皮)」には、滞った血流を改善する働きも期待できるようですので、気になる方は処方してもらってみてください。
大正製薬では、今後、MITOLの新たな機能やMITOL発現を促進させる素材の作用についてさらなる研究を進めていくとコメントしており、早期の商品化が期待されます。